<外向的思考>
・客観的データ(事実や借り物のアイデア)から情報を取り込む。
・既存の事実に依存し、抽象的なアイデアを実体のない、取るに足りないものと見なす。
・主体の外界にある事実を信用する。事実は思考そのものよりも、安定性と価値を決定する。
・実用的な問題の解決、事実の発見と分類、一般に認められたアイデアの批判と改善、学習の計画、公式の発展を目標とする。
・不適切なものを含めて、具体的なケースの詳細を掘り下げる。
・意味が抑圧されて思考が麻痺するまで、事実を拡大する傾向がある。
・感覚的な知覚の流れを変化させるような、内面の思考活動を過剰に働かせず、具体的な表現の連なりから構成される。
<内向的思考>
・主観的な無意識の根源(元型)から情報を取り込む。
・疑う余地のない要因として抽象的なアイデアに依存し、事実を主にアイデアの説明に役立つものとして価値づける。
・主体の観察力と判断力を信用する。内面に蓄積された遺伝的経験を利用して、安定性と価値を決定する。
・疑問を定式化すること、理論を作り上げること、可能性を広げること、洞察を生み出すこと、作成した理論や枠組みに外部の事実がいかに適合するか理解することを目標とする。
・不適切なものを棄却して、具体的なケースの類似性を捉える。
・事実を無視する、またはそれらをアイデアと無理に適合させる傾向がある。アイデアを補助するためにのみ事実を選択する。
・仮に感覚的な印象の流れに緩く結びついていても、それは内面の印象の鮮やかな動きによって霞み、内的な思考活動から構成される。
<外向的感情>
・主に客観的な要因によって決定を下し、あらゆる環境で人が正しく(つまり、慣習的に)感じるように機能する。
・個人を客観的な状況に適応させる。
・環境の理想、慣例、風習に頼り、深さより広さである。
・コミュニティの集団的理想において、個人の外に安定性と価値を見出す。通常それは疑いなく受け入れられる。
・他の人々と気楽で調和の取れた感情的関係を形成・維持することを目標とする。
・類似する感情を生み出したり喚起して、暖かな共感と理解を確立する。容易にそれを表現して人々と共有する。
・個人の立場を完全に抑圧する傾向があり、偽善や見せかけの態度をもたらす、感情的な性格となる危険性がある。
<内向的感情>
・主に主観的な要因によって決定を下し、人生の様々な側面における感情的な受容・拒絶の指導者として機能する。
・受け入れ難いものを排除・無視することで、客観的な状況を個人に適応させる。
・抽象的な感情(愛情、愛国心、信心、忠誠心)に頼り、広さよりも深さと情熱である。
・内なる豊かな判断力と抽象化の力から、自己の内に安定性と価値を見出す。
・内面の強烈な感情を抱いて守ること、また可能な限り、内面の理想を外界で成就・実現することを目標とする。
・全てを表現するには過度な力を要することがあり、無関心と言えるほど冷淡な印象を与え、完全に誤解されることがある。
・表現する際に客観的な満足や認知(または手段)を獲得できない傾向があり、感傷、空想、自己憐憫に浸って生きる危険性がある。
<外向的感覚>
・感覚的印象の主観的な要素を、可能な限り抑制する。・個人がほとんど認識しない主観的な印象よりも、感覚で捉えた対象に価値を置く。
・物事を写実的に捉え、印象は具体的な現実の一つ以上のものではない。「川辺に咲くサクラソウ」は単なるサクラソウである。
・具体的な楽しみをもたらす。完全に瞬間を捉え、物事の存在だけを表す。
・強い刺激に固着した注意力を発現する。人生は外界の突発的な出来事の影響下にあるので、それが常に興味の中心となる。
・楽しくて愛すべき外界の自己を発達させる。消化されていない経験と、解明されていない事実を基にした分類不可能な知識に富む。
・内向的な判断でバランスを取る必要がある。そうでなければ、浅はかで、全く経験的な性格となり、多くの迷信を抱え込み、集団の慣習と禁忌以外のモラルを持たない。
<内向的感覚>
・感覚的印象の客観的な要素を、可能な限り抑制する。・個人がほとんど認識しない対象そのものよりも、対象によって解放された主観的な印象に価値を置く。
・主観的な要因によって、物事を非常に色鮮やかに捉える。印象は対象によって暗示されたものに過ぎず、何らかの意味や重要性をもって無意識から生まれる。
・元型の活性化を通じてアイデアをもたらす。物質的世界の表層よりも、その背景を掴む。
・非常に選択的な注意力を発現する。捉えられる外界の刺激を予測することは不可能なので、全体的に内なる興味の布置に導かれる。
・極めてエキセントリックで個性的な内なる自己を発達させる。他の人々が認識しないものを知覚するため、とても非合理的に思われることがある。
・外向的な判断でバランスを取る必要がある。そうでなければ、口数が少なく、近づき難い性格となり、全体的に非社交的で、天気や集団的利益に関する慣習的で陳腐な話題を除き、会話もない。
<外向的直観>
・客観的な状況の影響力に、精神的な理解を利用する。・差し迫った状況を監獄と見なし、そこからの脱出は急を要する。客観的な状況において、全面的な変化という手段で抜け出そうとする。
・全体的に外界の対象を指向する。可能性の出現を探し求め、それが見つかると、そのような可能性のために他の全てを犠牲にする。
・芸術的、科学的、機械的、革新的、産業的、商業的、社会的、政治的、冒険的かもしれない。
・自己表現を自然かつ容易に行う。
・新たな活動の促進と主導に、最大の価値を置く。
・直観的な熱狂の批判と評価のためだけでなく、様々な活動の達成に結びつけるために、バランスの取れた判断を発達させる必要がある。
<内向的直観>
・精神的な理解の影響力に、客観的な状況を利用する。
・差し迫った状況を監獄と見なし、そこからの脱出は急を要する。客観的な状況に関する主観的な理解において、全面的な変化を通じて抜け出そうとする。
・外界の対象から刺激を受けるが、外的な可能性にとらわれることはない。むしろ、人生を概観、理解する新たな観点を探し求めることに興味を引かれる。
・芸術、文学、科学、発明、哲学、宗教など、あらゆる分野で創造的かもしれない。
・自己表現に困難を感じる。
・人生の解釈と理解の促進に、最大の価値を置く。
・直観的な理解の批判と評価のためだけでなく、そのビジョンを他者に伝達し、世界に実用的な利益をもたらすために、バランスの取れた判断を発達させる必要がある。
MBTIから入った人のために説明すると、「元型」とはC.G.ユングが提唱した概念で、「あらゆる民族や時代に共通する根源的イメージ(を生み出す構造)」である。現在のMBTIでは一部を除き元型に触れられることはないが、ユングにおいては重要な概念であり、元型が色々な形で精神に影響を与えるとされる。
マイヤーズの描写は、全体的に「タイプ論」におけるユングの描写を踏襲している印象を受ける(もっとも、「タイプ」に対する見解はユングとマイヤーズで根本的に異なっているのだが、ここでは深入りしない)。内向的感覚は一般的なMBTIのイメージと剥離しているが、元々は内向的直観と並んで外界の適応に困難を感じるタイプとされる。ただ、ISFJとISTJに関するマイヤーズの説明には、その点はあまり反映されていない(判断を発達させないと外界を無視するとは書いてある)。
ISxJに限らず、心理機能に関する説明はユングを踏襲しているにもかかわらず、タイプ描写においてユングと違いが生じるのは、マイヤーズが「補助機能」を重視していたためだろう。マイヤーズは、ユングの描写は「純粋なタイプ」に近いものであり、補助機能でバランスが取れたタイプを殆ど考慮していないと指摘している。
心理機能を解釈する際の注意点として、「心理機能は特性ではない」ことが挙げられる。この記事でも説明したが、心理機能はあくまでも知覚・判断の指向性による精神プロセスを指すものであり、言動そのものは状況に応じて変化、適応する。タイプや心理機能は特性的に描写されるので誤解を生みやすいが、この点を覚えておく必要がある。
出典:
Isabell Briggs Myers with Peter B. Myers ”Gifts Differing”
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