結論から言うと、ロシアでは概ね「jpスイッチは存在しない」とされている。以下、某ロシアのサイトから抜粋。
ISTJ:計画者、責任者。物事を完了する。社会で活躍する。計画、シーケンスの構築、何が不足しているかに気づく。予想外の出来事を嫌う。ISTJのこのようなイメージは、ソシオニクスLSIと完全に一致する。JPスイッチなし。
ISTP:問題を積極的に解決する。ツールを最適な方法で使用する能力。独立性への希求。直感による予感に基づいて行動する。強い感情によって不安になる。ISTPのこのようなイメージは、ソシオニクスSLIと完全に一致する。JPスイッチなし。内向型の全てにこのような描写がされている。何故、機能が全く違うタイプ同士の描写がこれほど似ているのか?
まず重要な前提として、
1.j=合理、p=非合理
2.INTP=INTj
この二つを提唱したのは別人である(前者はソシオニクス創立者のオーシュラ・オーガスタ、後者はパヴロフ)。これが何を意味するかというと、「1と2は同列で比較されるものではない」ということだ。最初はこの事実を知らなかったので、ロシアのサイトを読むとこの問題について「ソシオニクスの合理・非合理とMBTIの判断・知覚の記述は著しく異なっていることから、これらは同一のものではないと考えられる」「内向の合理・非合理型と判断・知覚型は機能構造的に違うものであることから、違う型である」などと書かれていて、違和感があった。
確かに合理・非合理と判断・知覚の記述に差はあるが、「著しく」とまで表現するものなのか?そして内向のjpは入れ替わるものだから(INTP=INTj)、機能構造的に違うもの(INTP=INTp)を比べても意味がないのでは?と思ったのだが、これは根本的な勘違いだった。
実は、前者と後者は比較している指標そのものが違う。後者は「MBTIの内向型はソシオニクスでjpが入れ替わる」という日本では一般的な説で、比較しているのは心理機能である。一方、前者が争点にしているのは「ソシオニクスでMBTIのJPに対応する指標は何か?」という点なので、MBTIのJP(判断・知覚)=ソシオニクスのjp(合理・非合理)と考えるなら、INTPとINTjでは対応関係になっていない。INTJとINTj、INTPとINTpを比較するべきなのだ。対応関係を示すと、
INTP=INTp
J(外向機能:Te,Fe)=j(主機能:T,F)
P(外向機能:Ne,Se)=p(主機能:N,S)
ではINTP=INTjという構図はどこから来たのか?前述したように、これはパヴロフが提唱した説で「MBTIのJP=ソシオニクスのStatic/Dynamic(静的・動的)」とするものである。この特徴についてはこの記事で改めて説明するが、分類方法としては
静的:自我機能にTi,Ne,Fi,Seを持つタイプ(Ep,Ij)
動的:自我機能にNi,Te,Si,Feを持つタイプ(Ej,Ip)
この説では事実上jpは無視されており、内向型のjpは反転する。形式上はINTP=INTjとなっているが、実はJPとjpを比較しているのではなく、JPと静的・動的特性を比較している。この静的・動的特性は指標として表示されないので、内向型ではJ=p、P=jという矛盾した相関関係が成立する。対応関係を示すと
INTP=INTj
J(外向機能:Te,Fe)=Ni,Te,Si,Fe(順不同)
P(外向機能:Ne,Se)=Ti,Ne,Fi,Se(順不同)
ここで三つの基準がある。
①判断・知覚
②合理・非合理
③静的・動的
実はこの三つの描写もそれぞれ異なっているのだが、話が複雑化するのでこの記事ではJPの話に集中する。
さて、オーシュラとパヴロフのどちらが正しいのか?それを確かめるために行われた実験がある。MBTI(カーシー)のタイプ描写を読んだソシオニクス研究者たちが、その描写に近いソシオニクスのタイプに投票する、というものである(108人。複数投票可)。その結果が下の図となる。
INTP=INTp
J(外向機能:Te,Fe)=j(主機能:T,F)
P(外向機能:Ne,Se)=p(主機能:N,S)
ではINTP=INTjという構図はどこから来たのか?前述したように、これはパヴロフが提唱した説で「MBTIのJP=ソシオニクスのStatic/Dynamic(静的・動的)」とするものである。この特徴についてはこの記事で改めて説明するが、分類方法としては
静的:自我機能にTi,Ne,Fi,Seを持つタイプ(Ep,Ij)
動的:自我機能にNi,Te,Si,Feを持つタイプ(Ej,Ip)
この説では事実上jpは無視されており、内向型のjpは反転する。形式上はINTP=INTjとなっているが、実はJPとjpを比較しているのではなく、JPと静的・動的特性を比較している。この静的・動的特性は指標として表示されないので、内向型ではJ=p、P=jという矛盾した相関関係が成立する。対応関係を示すと
INTP=INTj
J(外向機能:Te,Fe)=Ni,Te,Si,Fe(順不同)
P(外向機能:Ne,Se)=Ti,Ne,Fi,Se(順不同)
ここで三つの基準がある。
①判断・知覚
②合理・非合理
③静的・動的
実はこの三つの描写もそれぞれ異なっているのだが、話が複雑化するのでこの記事ではJPの話に集中する。
さて、オーシュラとパヴロフのどちらが正しいのか?それを確かめるために行われた実験がある。MBTI(カーシー)のタイプ描写を読んだソシオニクス研究者たちが、その描写に近いソシオニクスのタイプに投票する、というものである(108人。複数投票可)。その結果が下の図となる。
出典:https://www.socioniko.net/en/articles/lytovs-intro3.html |
背景が青になっているものはオーシュラ説に基づき、事前に投票を予想されたタイプ。
両方の説に一致:ENTP-ILE、ESTJ-LSE
オーシュラ説に一致:IS型全般、INFJ-EII(INFPとINFJは不明瞭。jpスイッチなし)
パヴロフ説に一致:INTP-LII(jpスイッチあり)
両方の説に不一致:ENFP-EIE、ESTP-SEE、ESFP-IEE、INTJ-SLE
これをわかりやすく図にすると以下のようになる。
JP=合理・非合理とするとINTP=INTp。機能構造が異なる。
JP=静的・動的とするとINTP=INTj。タイプの特徴が異なる。
だからMBTIとソシオニクスで完全なタイプの対応付けはできない(JPスイッチはない)、
という当たり前の結論に至っただけなのだが、日本ではINTP=INTjという形式とj=合理、p=非合理という定義を設定したのは別々の人間という事実が知られておらず、疑問も持たれていない。というのも表面的な機能構造としては主機能Ti+補助機能Neという形式が一致しており、主機能=合理、外向機能=知覚という構造が成立するルールは競合しないので、「jpが一致しない」という事実にはあまり注目されていない。
時々見かける反論として「MBTIは外向機能の特徴を描写しており、ソシオニクスは主機能の特徴を描写している」というものがあるが、そんな事実はない。そもそもソシオニクスは機能ごとに特徴が描写されるのが普通なので「主機能だけにフォーカス」することはないし、MBTIがタイプ描写を外向機能だけに依存していないことも各タイプの説明を読めばわかる。パヴロフの提唱したJPスイッチ説はJ=動的、P=静的という基準で設定されており、主機能が合理・非合理であるか、それがどんな特徴を持つかは無関係に分類されているので、「内向型のjpが反転する」という前提ならば、主機能の特徴に言及することに意味はない。個々で見ればその説明に納得する人間もいるだろうが、それは個人の話であって、タイプ全体に適用する根拠にはならない。
類型論で陥りがちな思い込みで「自分の特徴=タイプの特徴」に拡大解釈してしまうことがある。逆はレッテル貼りや偏見などで問題になるが、「自分に当てはまる=自分と同じタイプ全員に当てはまる」(この場合「自分はINTP/LIIの特徴に当てはまるから、INTP=LII」など)と思い込むのもまた偏見でありレッテル貼りであろう。その思い込みを基にして辻褄合わせをしても意味がないのは、上記の結果が証明している。
ここでは記事のテーマ上、JPの話に終始したがMBTIとソシオニクスの根本的な違いは他にある。
コメント
コメントを投稿